Japanische Klassiker mit Furigana
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びみほうだん
美味放談
北大路 魯山人
Lesen Sie 美味放談 (びみほうだん) von 北大路 魯山人 (きたおおじろさんじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.841 Zeichen · 16 Bildschirme
僕は徹底的にものを食ってきたが、小さい時から味をぐっとこう見詰めている癖があったね。それになんというか楽しんで食うという気分があったね。物を自由に食うには実際問題として金がなければ食えない。僕は貧乏書生だったから、そう自由には食えなかったが、しかしおもしろいことがある。
僕が二十一、二の頃でもあったろう。あるところの事務員をしていた。僕の上にいた課長というのが、後に資生堂の重役になった男だが、この課長が僕等といっしょに昼飯を食う。僕らは金がないからろくなものは食わないが、課長ともあろうものがやっぱり僕らと同じものを食っている。僕はどういうわけだと思ったね。きっと夜はうまいものでも食うんだろうなどと考えたりしてね。ところが、僕はそのころでもいわば、少し風流だったんだね。僕は昼飯によく豆腐を食うんだ。豆腐は安くてしかもうまい。しょうゆは家で拵えて持って行くんだ。ところが豆腐をただ食っていれば、別に話はなかったが、この豆腐を入れる容れ物が、当時ギヤマンと呼ばれていた紅硝子の切子細工で実に見事なものなんだ。そのギヤマンの中へ真っ白な豆腐を盛って食うんだから、これが見た目も美しく、うまそうなんだね。