Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎびょうのつか
義猫の塚
田中 貢太郎
Lesen Sie 義猫の塚 (ぎびょうのつか) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 989 Zeichen · 2 Bildschirme
寺男ははっとして眼を開けたが、縁側には彼の飼猫と近くの寺の猫がいるだけで他には何もいなかった。其のうちに夜になって寝たところで、天井裏で喧嘩でもするような大きな物音がした。寺男はびっくりして眼を覚ましてみると、住職がもう起きて行燈に燈を点けていた。
「何でしょう」
「さあ」
二人は行燈の燈で彼方此方を見まわったが、別に怪しいこともないので、其の夜は其のままにして寝たが、朝になって住職が本堂へ往ったところで、其処の天井裏から生なましい血が滴っていた。住職は驚いて檀家の壮い者に来てもらっていっしょに天井裏へあがった。天井裏には彼の飼猫と近くの寺の猫が血に染って死んでいたが、その傍に三尺近い大鼠が死んでいたが、それは僧侶の被る法衣を被ていた。
「おう」
其の時住職の頭を掠めたものがあった。それは其の数日前、何処からともなく来て滞在していた旅僧のことであった。住職は念のために旅僧の室に往った。其処には敷きっぱなしにした寝床があるだけで、旅僧の姿は見えなかった。そこで住職は心でうなずくことがあった。
今西林院にある義猫の塚は、彼の飼猫と近くの寺の猫を合せ葬ったものであった。