Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ろうふうふ

老夫婦

黒島 伝治

Lesen Sie 老夫婦 (ろうふうふ) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.957 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

」ばあさんは四畳半へ来て囁いた。

「ごぜんなんておかしい。ごはんと云いなされ!」清三はその言葉をきゝつけて、妻のいないところで云いきかした。

「そうけえ。」

しかし、おしかはどうしてもごはんという言葉が出ず、すぐ田舎で使い馴れた言葉が口に上ってきた。

「おばあさん、もうそんな着物よして、これおめしなさいましな。……おじいさんもふだん着にこれを。」園子はやがて新しく仕立てた木綿入りの結城縞を、老人の前に拡げた。

「まあ、それは、それは。――もうそなにせいでもえいのに。じいさん、えい着物をこしらえてくれたんじゃどよ。」

「ほんとに、これをふだんにお召しなさいましな。」園子は、老人達の田舎縞を知人に見られるのを恥かしがっているのだった。

「どら、どんなんぞい。」園子が去ったあとでじいさんは新しい着物を手に取って見た。「これゃ常着にゃよすぎるわい。」

「袷じゃせに、これゃ寒いじゃろう。」ばあさんは、布地を二本の指さきでしごいてみた。

着物は風呂敷に包んだまゝ二三日老人の部屋に出して置かれたが、やがて、ばあさんは行李にしまいこんだ。そして笑われるだろうと云いながら、やはり田舎縞の綿入れを着ていた。