Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうこうふとでんとう
老工夫と電灯
小川 未明
Lesen Sie 老工夫と電灯 (ろうこうふとでんとう) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.017 Zeichen · 6 Bildschirme
咲いている花の蕊の中から、蜜を吸おうと、大きな、黒いはちが花の中へはいった。彼は、そのはちをいじめてやろうと、歩み寄って、ふいに四方から花弁を閉じてしまった。花の中では、かすかな、はちのうなりが、遠い、遠い、音楽を聞くように、空気を伝って、耳にはいってくる――彼は、自分が子供の時分の、あの日のことを思い出したのでした。
「どうして、こんなことを、いま、トンネルの内で思い出したろう……。」
ふたたび帰らない生活と自由を、彼は、慕ったのでした。
せめて、昔のような、子供に返られないものなら、この電燈のように、世間の煩わしさから離れて、静かに、じっとしていたいものだと、老労働者は空想していたのです。
けっして、瞬きするはずのない、電燈の光が揺らめいた!
はっと思って、その一点を凝視すると、一ぴきのとかげが、かえるをくわえて、すぐ火の近くの煉瓦の壁に、どこからかはい出てきたのでした。
彼は、場所がら、真にあり得べからざる光景を見るものだと思い、息を殺して、子細に見ていると、小さなかえるは、まだ生きていて、万死の中から、逃れたいと四つ足をぴくぴくもがいていたのです。