Japanische Klassiker mit Furigana
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みみとめ
耳と目
寺田 寅彦
Lesen Sie 耳と目 (みみとめ) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.065 Zeichen · 9 Bildschirme
酒場で悪漢が密談している間に、隣室で球突きのゲームをとる声と球の音が聞こえている。その音が急に高くなったと思うとドアーが開いて女が現われるというようなのは、これは、光が届かぬのに音の届く場合である。これに反して、ガラス窓の向こうで男女が何か小声で話しているのをこっちから見ているという種類のは、光を透過して音を遮断した場合である。この種類の特殊な効果の可能性もまだ現在のトーキーでことごとくされているとは思われない。
目はまぶたによって任意に開閉され、また頭を動かすことなしにある程度までは自由に左右上下に動かされる。しかし耳は耳だけではそういう自由をもたない。この事実にもいろいろな意味があるが、主要な目的論的意義はやはり光と音との本質的差異と連関している。しかしここではそれは別問題として、単にこの事実とトーキーの関係を考えてみる。
音が聞こえてから、目でその音源を追究する代わりに、カメラを回してそれを追究する。これはよくやる手法である。それがうまく行っている場合には、観客は実際自分の目がそっちへ向くように感じる。しかし実は動かぬスクリーンを見つめているのである。