Japanische Klassiker mit Furigana
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せいアレキセイじいんのさんげき
聖アレキセイ寺院の惨劇
小栗 虫太郎
Lesen Sie 聖アレキセイ寺院の惨劇 (せいアレキセイじいんのさんげき) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.638 Zeichen · 65 Bildschirme
しかしもうその時には、塔の上層に黎明が始まっていて、鐘群の輪郭が暈っと朧気に現われて来た。
「上の小鐘は暗くて判らんが、下にある大鐘だけは二つ見える。」警察医が屍体を検案している方には見向きもせず、法水は仰向いて独語した。「床から円蓋の頂点までが五米ぐらいか、それから鐘までも同じぐらいあるだろう。」
「そうです。」ルキーンが合槌を打った。「鐘は全部尖塔の頂にある窪みの中に隠れていて、大鐘の裾が塔の窓にチョッピリ覗いているくらいなんですから、どんな暴風にでもビクともしませんぜ。二つの大鐘の上に小鐘が八つあって、綱を引くと最初に小鐘が鳴り、続いて大鐘に及んで行く装置になっているのです。それから、鐘の横軸を支えている鉄棒は、頂辺まで伸びて大十字架になっているんですよ。」
法水は試みに綱を引いてみた。鐘は両手でやっと引ける程の重量だったが、果してルキーンの云う通り、最初小鐘が明朗たる玻璃性の音響を発し、続いて荘厳な大鐘が交った。彼はそれによって、鐘の鳴る順序が不変の機械装置によること、二つの大鐘がそれぞれ反対の方向へ交互に振動する――などを知った。それから少し経って、呼息が白い煙のように見え始めて来ると、今度はルキーンの服装に気がついた。