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Japanische Klassiker mit Furigana

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せいアレキセイじいんのさんげき

聖アレキセイ寺院の惨劇

小栗 虫太郎

Lesen Sie 聖アレキセイ寺院の惨劇 (せいアレキセイじいんのさんげき) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.638 Zeichen · 65 Bildschirme

Aozora Bunko

帽子外套からズボンまですべて護謨引きの防水着で固め、しかも全身ずぶぬれである。

やがて、警察医の報告が始まった。

「死後約二時間半と云うところでしょうな。兇器は洋式短剣ですよ。創道は環状軟骨の左二糎程の所から最初刃を縦にして抉りながら斜上に突き上げているのですから気道は水平の刃で貫いてあります。そして、頸椎骨の第二椎辺をかすめた所が創底になっているのですぞ。」

それにいちいち点頭きながら、法水は屍体の不自然な形状を凝然と見下している。屍体は寝衣の上に茶色の外套を羽織り、腰を奇妙に鉾立ててしゃがんだ恰好のまま上半身を俯伏しているが、両手は水牛の角のような形で前方に投げ出し、指は全部鉤形に屈曲している。その傷口の下が、流れ出した血で湖水のような溜りだ。が、それには、周囲の床から扉の内側にかけてわずかな飛沫が飛び散っているのみのことで、どこにも乱れた個所がない。無論それによって、格闘の跡は愚か、死体が刺された以後に動いた形跡のないことまで明白に立証されるのであるが、その推定をさらに裏書しているのが両手の指先であって、それには、傷口を押えたと見なければならぬ血痕が付着していないのである。