Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしょ

聖書

生田 春月

Lesen Sie 聖書 (せいしょ) von 生田 春月 (いくたしゅんげつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.023 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

と云ってまたそれを下に置いた。僕はこの先輩の声援にすっかりいい気持になって、その聖書をまた手に取ってしきりに引っくり返しながら、いつになく盛んに気焔を挙げた。

帰る時に、僕があまりその聖書を熱心にいじくっていたものだから、

「何なら持って行きたまえ」とKさんは云ってくれたが、僕は、

「いえ、なに」と立上りながら云った。御馳走ではないものだから、Kさんは「遠慮したもうなよ」とまでは勧めなかった。下へおりると、奥の方で賑かな女の人の笑声がした。門を出ようとして、横の方を見ると台所の窓のところから、例の女中さんの顔が此方を覗いていた。僕は玄関に立っている主人に云う風をして、「さようなら」と、一寸彼女の方に頭をさげた、何だか彼女がにっこり笑ったように思われた。僕はひどく愉快な、はしゃいだ気持になって、「Kさんは珍らしいものを見つけたものだな」と心に呟いて、あの聖書のことを考えているつもりでいながら、いつか女中さんのことを考えながら、そのぷっと噴き出したのはどうした訳だったろうと、いろいろな想像を逞しくしながら、本郷三丁目までてくてく歩いた。