Japanische Klassiker mit Furigana
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むこ
聟
宮本 百合子
Lesen Sie 聟 (むこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.901 Zeichen · 8 Bildschirme
言葉につまったような詮吉の顔を見ると、お豊はいかにもこだわりなく、
「そんな顔しなさらないでようございますよ」
母親らしく声を立てて笑った。
「私はこういう生れつきで、腹にないことは云えない性分ですからね」
永年二階をかして見て、下宿料をきちんと納めるひとは世間に数が少くはない。遊ばない若い者というのも考えているよりは多勢あるものだ。けれども、勤めの愚痴を一言も云わないで、どんなときでもいそいそと出かける人間というものはないものだ。
「それはねえ、木村さん、誰しも愚痴が出るもんですよ。雨でも降ると、靴をはきながら、ああいやんなっちゃうな、とか、ちっとくさくさしたことがあって帰って来ると、ああァあんなところはもう明日っからやめちゃいたいとかね。あなたばっかりは、うちへいらしてからこの方降ろうが照ろうが、本当にこれから先もこぼさず、勇んで出かけていらっしゃる。――なみのお勤めの方には出来ないことだと私は感服しておりますよ」
詮吉は思わず唸るような気持になり、
「――なるほど……そういうもんですか」
と云った。周密なつもりでも、詮吉はそこまでは思い及ばなかったのである。