Japanische Klassiker mit Furigana
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しょっこうとびしょう
職工と微笑
松永 延造
Lesen Sie 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) von 松永 延造 (まつながえんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.696 Zeichen · 144 Bildschirme
そして何が善で何が悪かも分らなくなって、唯済まないと云う心持で一杯になりました。私が父の命に服従し、父の荒立った心を少しでも慰め、又鎮めようとしたのは実にその為めだったのです。
私はおハナを習いました。肩を打たれ乍ら色々の秘術を教授されました。ああ細い事は申せません。私は唯上手になって了ったんです。男の中へ入って一度敗れば二度勝つようになって了ったのです。
ああ父は私にいやらしい事を云いつけたのです。『帳場へ坐ったら、若い女はなる可く膝を崩せ!』というのがそれなんで御座います。そうすると若い男たちの注意力が二つに割れて分れて了う、勝負に必要な思わくや相手の持っている札の種類を皆忘れて了う、と云うのが父の考えなので御座いました。
私は悲しくて泣いていると、何時も後ろから蹴られました。そして、或夕方、私の家へ隣りから飛んで来たハンケチを、私が拾って返そうとしました時、継母が『一寸お待ち、』と云ってそれを取り上げると、又父が私を蹴りました。
『私は鞠じゃないんだよ!』と私は悪い女のように憤りました。
『人間だったら、人間なみになれ。あすこにもう一つ干してあるハンケチを取って来て見ろ!』