Japanische Klassiker mit Furigana
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しょっこうとびしょう
職工と微笑
松永 延造
Lesen Sie 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) von 松永 延造 (まつながえんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.696 Zeichen · 144 Bildschirme
彼等は何時でも私を憎み乍ら、注視していた。そして私の汚い日本服の下に支那風な胴着をでも見ようものなら、彼等は犬のように吠えたてて、私の耻を路の真中へと曝け出した。
「お父さん。私ばかりを皆がいじめる。私許りを見詰めている。露路から抜けようとすると待ち伏せをしているし、大通りを歩くと皆が二階の窓から睨めて、唾で丸めた紙を投げるのです。」私は斯んなふうに子供らしい嘆きを洩した。けれども私を愛さぬ父は彼自身の少年時代が矢張り之と同じだったと答えた。そんな嘆きは段々と凝集して大きい塊りになって行き、ああ遂に全然別のものと変態して了ったのであった。
誰に向けられるのでもない漠然とした怨恨の情と、縁の下の蔓のようにいじけた僻みの根性とが、私の心を両方から閉ざす二つの扉となったのは極めて自然である。斯んな説明は誰も陳腐であるとして排斥する程、私の心の変化は普通の成り行である。
だが、私が十九才程に成長した時、一つの出来事が起って、其れが他の出来事をさそった。私の父は重い病気の後に死んだ。母は既に約束してあった男と早速何処かへ逃げて行って了った。遠く出稼ぎに出て居た私が駈け附けた時には、薄馬鹿の妹が小さく暗い家に足を投げ出して、何か考え事をしているのを見た丈であった。