Japanische Klassiker mit Furigana
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しょっこうとびしょう
職工と微笑
松永 延造
Lesen Sie 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) von 松永 延造 (まつながえんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.696 Zeichen · 144 Bildschirme
軈て私は若い農夫のような出で立ちをした。そして父の土地から遠くさすらって、他の都市へと行った。
郊外には主人が留守で、美しく若い夫人丈が淋しく子供に添乳なぞをしている家が多い。私はそんな家の扉口へ立つと、大きな笊の上を蔽った手拭いを取り去り、丸顔の少女のような鶏卵を主婦達に見せびらかした。
「おかみさん! 地卵を買ってくんなんねえか。新らしいだよ。皆生れた日が鉛筆で印してあるだが、」と私は実直に云った。
「いやだ。いらないよ。」と若い女は答えるのが普通であった。
「でも此の上皮の工合を見て呉んろ。新らしいだよ。俺の爺さんが道楽に鶏を飼ってるんだからな。餌代丈になりゃ好いだよ。安くしとくだ。店で買えば七銭から八銭迄するだ。俺あ五銭で置いてくだ。」
夫人は何気なく起き上った。そして卵の肌へ手を触れて見た。彼の女は自分の可愛い子がもう卵を食べてもよい程に育ったのをつくづくと感ずるらしく、思いやりの深い眼で眠っている幼子の方を見やったりした。
斯うして卵は直きにかたがついて了うのであった。私は時々自分の身をツメって叫んだ。
「ああ罪だ。罪だ。あの卵の中、三分の一はもう腐敗してるだろうに……」