Japanische Klassiker mit Furigana
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しょっこうとびしょう
職工と微笑
松永 延造
Lesen Sie 職工と微笑 (しょっこうとびしょう) von 松永 延造 (まつながえんぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.696 Zeichen · 144 Bildschirme
私の腕に依って磁針の方角を変化させることが出来るのだ。何でも両腕が恰度両極になってるんだ。いや足の方にも同じ性能があるんだ。試験をした理学者も驚いていたよ。私位い強い磁力を持った男は少い相だ。ね君。人間は一様でない、と云うのが私の理論なんだ。」
知り合いの男は何でもそんな風に話した。私は細かい点をもう記憶していない。私が知っているのは唯自分の淋しさ丈であった。私は海岸を歩き乍ら涙をこぼした。それから暗澹たる夜空を眺めた。遠くに火事が起っているらしく、空の一点丈が赤く色づいていた。
「人間は一様でない? 馬鹿な! 別々のものが一つに見える。姉と妹とは段々似て来る。此の頃では嫉妬の喧嘩もしない。却って彼の女等は二人で慰め合い、二人で心を合せて私を怨んでいるのだ。別々のものが一つになったのだ。」
私は向う見ずに歩いた。と云うよりは足に体が引きずられ、体に足が引きずられて行ったのである。
暗の中にはもう一人別の知り合いが立って考えていた。そして何時もの通り、私をさぐるような目つきで近づいて来ると
「例のバタバタは何うなっている?」と問いつめた。知り合いの眼には悲痛な色があった。