Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にくたい

肉体

豊島 与志雄

Lesen Sie 肉体 (にくたい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.219 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

一階の庇の上、二階の窓の前に、「御菓子化粧品」という大きなペンキ文字の看板をかかげ、店にはいい加減に品物を並べ、御菓子にしても化粧品にしても、手のかからない小綺麗なものばかりで、小女を一人おき、二階は八畳に六畳で、そこが彼女の室でした。すぐ近くに魚屋もあり酒屋もあって、いつ私が行っても不自由しませんでしたよ。

新らしい生活のなかでも、トキエは何の窮屈も不安も感じないらしく、ただぼんやり微笑んでいました。朝は遅く、隣近所の店がすっかり片附いてしまった時分に、漸く戸を開いて、それからゆっくりと、十時頃までかかって化粧品の壜などを置き並べ、夜は遅く、人通りもなくなりかけた十一時すぎに、店の戸をしめるのでした。髪結にだけは、元いた土地まで出かけて、洋髪や丸髷にいって来ましたが、それだけが殆んど仕事で、もう長唄の稽古もやめてしまいました。

「一日、何をして暮してるの。」

「だって、いろいろ用があるわよ。」

そして安らかな笑顔をしていました。その同じ笑顔で、云いました。

「あたし……なんだか、身体の調子が変だわ。」

すすめて、医者にみせますと、引越してきてから一ヶ月日に、妊娠したらしいんです。