Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はだいろのつき
肌色の月
久生 十蘭
Lesen Sie 肌色の月 (はだいろのつき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 50.706 Zeichen · 101 Bildschirme
刑事が言われたものを捜査一課のところへ持って行くと。秀才は笑いながら絵具箱の蓋をあけた。
「湖水の風景をスケッチに来たんだそうだが、このとおり、ブラッシュが一本も入っていない。それで、れいの指で描くやつかと思った……それから、この下着だが、君のものではないらしいね。貧乏だなんていっているが、これはタフタの上物だ。シャンディイのレースがついて、安いものじゃないよ」
大阪行の二等車の化粧室でお着換えしたとき、見かけだけに頼って、下着を変えることを考えなかった。細かいところまで考えぬいたつもりだったが、こんな抜けかたをするようでは、自分の思考もたいしたことはないと、急に気持が沈んできた。
「胸のところに色糸でK・Uという頭文字が刺繍してある……君の名は栂尾ひろ、当然、H・Tでなければならないわけだ」
顔色が変るのが、自分にもわかった。
宇野久美子は、豊橋と大阪の間で消滅し、栂尾ひろという無機物のような女性が誕生した。久美子のつもりでは、癌腫という残酷な病気を笑ってやる戯れのつもりだったが、抜きさしのならない嘘になって、きびしく跳ねかえって来ようとは、思ってもいなかった。