Japanische Klassiker mit Furigana
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じじょでん
自叙伝
大杉 栄
Lesen Sie 自叙伝 (じじょでん) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.021 Zeichen · 230 Bildschirme
「人の恋人をうちで世話してよそへやるのもひどいが、人の目の前でその結婚の時の布団を縫って見せるなんて実にひどい。」
ついさっきまではもう二、三年も思いだしもしなかった、ほんの幼な友達のことを、こうして僕はまるで自分の恋人のように考えだしたのだ。そして、それを今よそへ取られるのだというような気持にまでもなったのだ。
しかしその翌日、はたして礼ちゃん親子がやって来てからは、この失恋に似た妙な気持よりも、現に彼女と一つ家に生活しているという喜びの方が、よほど強かった。
彼女等は、僕の室の窓から二間ほどの庭を隔てた向うの座敷をその室にあてがわれた。その窓からでも、彼女等の顔は、向うの障子のガラス越しに見えるのだ。彼女は来るとすぐ、いずれ母から何とか注意があっただろうのにも構わずに、僕の室を訪ねてくれた。そしてひまさえあれば、というよりもむしろ彼女の母さんの隙を窺っては、僕の室へ遊びに来た。
彼女は今すぐ嫁に行くのだというような顔はちっともして見せなかった。僕がそんな方へ話を持って行っても、すぐ僕の口をおさえるようにして、話をほかへ移してしまった。彼女はただもうほとんど治った僕の傷だけを、始終気にした。