Japanische Klassiker mit Furigana
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じじょでん
自叙伝
大杉 栄
Lesen Sie 自叙伝 (じじょでん) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.021 Zeichen · 230 Bildschirme
彼女にはこの黙っているということが何よりもつらいのだ。寂しくて堪らないのだ。どなり合ってでも、何か話していたいのだ。そして今は、もう堪らなくなって、何もかもいっさい忘れたようになって、数日前の彼女と僕とに帰って話したかったのだ。
「してもいい。が、愚痴はごめんだ。」
「愚痴なんか言いやしないわ、だけど……」
「そのだけどが僕はいやなんだ。」
「そう、それじゃそれも止すわ。」
「それよりも、この一、二日以来のお互いの気持でも話そうじゃないか。僕はもう、こんな醜い、こんないやなことは飽き飽きだ。ね、お互いにもう、いい加減打ちきり時だぜ。」
「ええ、私ももう幾度もそう思っているの、だけど……」
「まただけどだね。そのだけどでいつも駄目になるんだ。こんどこそはもうそれを止しにしようじゃないか。」
「だけど、もっと話したいわ。」
「話はいくらでもするがいいさ。しかし、もう、お互いにこんないやな思いばかり続けていたって、仕方がないからね。本当にもう止しにしようよ。」
「ええ……」
彼女はまだ何か話したそうに見えた。が、その話のさきを一々僕に折られてしまうので、こんどは黙って何か考えているようだった。