Japanische Klassiker mit Furigana
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じじょでん
自叙伝
大杉 栄
Lesen Sie 自叙伝 (じじょでん) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.021 Zeichen · 230 Bildschirme
僕は先生のこのお母さんが可哀そうな気がして、母にその話をした。母はすぐに馬丁に炭を一俵持たしてやった。先生のお母さんは涙を流してお礼を言った。そしてその翌日からは大きな炭でカッカと火をおこしてくれた。
僕はこの先生に就いて、いわゆる四書の論語と孟子と中庸と大学との素読を終えた。
先生はまだ二十四、五か、せいぜい七、八の年頃で、その風采は少しもあがらなかった。しかしそのお母さんは、風は汚なかったが、どこかしらに品のある顔をしていた。が、そうした士族の落ちぶれたようなのは僕にはちっとも珍らしいことではなかった。
僕はその後幾度も囚人として監獄にはいって、そのたびにいつもこの先生のことを思い出した。生徒の僕等に何かものを言うんでさえ少々はにかんでいたようなおとなしい先生だ。きっと先生は囚人などとは直接に交渉のない、内勤の方の何かの事務を執っていたのに違いない。とても囚人を叱ることのできるような先生ではなかった。
それからまた、やはりその頃に、夜五、六人の友人を家に集めて、輪講だの演説だの作文だのの会を開いた。すぐ一軒おいて隣りの西村の虎公だの、町の方の杉浦だの、前にそのお母さんのことを話した谷だのが、その常連だった。