Japanische Klassiker mit Furigana
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しぜんげんしょうのよほう
自然現象の予報
寺田 寅彦
Lesen Sie 自然現象の予報 (しぜんげんしょうのよほう) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.394 Zeichen · 21 Bildschirme
学者は科学を成立さする必要上、自然界に或る秩序方則の存在を予想す。従ってある現象を定むる因子中より第一にいわゆる偶発的突発的なるものを分離して考うれども、世人はこの区別に慣れず。一例を挙ぐれば、学者は掌中の球を机上に落す時これが垂直に落下すべしと予言す。しかるに偶然窓より強き風が吹き込みて球が横に外れたりとせよ。俗人の眼より見ればこの予言は外れたりと云う外なかるべし。しかし学者は初め不言裡に「かくのごとき風なき時は」という前提をなしいたるなり。この前提が実用上無謀ならざる事は数回同じ実験を繰返す時は自ずから明らかなるべきも、とにかくここに予言者と被予言者との期待に一種の齟齬あるを認め得べし。
次には近似の意義に関する意見の齟齬が問題となる。学者が第一次近似をもって甘んずる時、世人は却って第二次近似あるいは数学的の精確を期待する場合もあり。これは後に詳説する天気予報の場合において特に著し。かくのごとき見解と期待との相違より生ずる物議は世人一般の科学的知識の向上とともに減ずるは勿論なれども、一方学者の側においても、科学者の自然に対する見方が必ずしも自明的、先験的ならざる事を十分に自覚して、しかる後世人に対する必要もあるべし。