Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じゆうじん

自由人

豊島 与志雄

Lesen Sie 自由人 (じゆうじん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.030 Zeichen · 139 Bildschirme

Aozora Bunko

四

」

北村は感心したように首を傾げたが、ちらと眉をひそめた。

「とにかく、私が診察にいってあげよう。」

「お父さまの方はどうでもいいけれど、お酒の方をね。それから、わたくしがいろんなことをお話ししたこと、内緒にね。」

「分っている。どうも私は、君にまで子供扱いにされて、悲観するよ。」

却って彼は、嬉しそうだった。千重子も微笑したが、その顔はやがて、なにやら打ち沈んだ色に蔽われて、産毛の密生したような感じの皮膚が、生きた表情を失っていった。

池から広い街路と少しの焼け跡を越えて、その向うの弥生町のとっつきに、松本家は在る。二人は肩を並べて歩きながら、もう黙りこんでしまった。

四

松本家へ行って、北村庄作はちと勝手がちがった。ふだんは、富子夫人から、つんと澄した顔で迎えられ、そのすっきり高い鼻に気圧されるのだが、その日は、彼女の鼻がさほど目につかなかった。

「しばらくお見えになりませんでしたね。お忙しかったのですか。」

「お隙なのよ、小父さまは。池の端をぶらついていらしたわ。きっと喉がかわいていらしてよ。」

千重子は母へ、小賢しげな目配せをした。北村はハンケチで額を拭いた。