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Japanische Klassiker mit Furigana

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じゆうじん

自由人

豊島 与志雄

Lesen Sie 自由人 (じゆうじん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.030 Zeichen · 139 Bildschirme

Aozora Bunko

「小父さま、酒をあがると、よい絵がおかけになるんですって、ほんとうなの。」

「誰がそんなことを言ったかね。」

「だって、小父さまの絵は、物の形がみんなまがっていて、酔っ払いのかいたものだって……。」

「ははあ、絵の分らない奴の影口だな。然し、いいかね、物をじっと見つめていてごらん。この銚子でも皿でもいいから、じっと見つめていてごらん。必ず、形がまがってくる。なぜまがるか、分るかね。眼の錯覚じゃないんだ。光線のせいだ。つまり、色彩のせいだ。まっすぐな形ばかり書く奴は、色盲患者か、本当の盲人かだ。明るい光りの中に生きていて、色彩がはっきり見える画家には、物の正形というものはない。すべての物体は、光線によってデフォルメされるんだ。」

「だから、小父さまのお弟子さんの、お姉さまの絵も、へんな恰好になるのね。」

「ばかね。お酒をぶっかけるわよ。」

千重子がお銚子を持ちあげると、八重子は縁側まで逃げていった。

「あ。」

そして静かに言った。

「お父さまが、お庭に出ていらっしゃるわ。」

あちらの、奥の座敷の前庭に、藤棚があり、その青葉の影に設けられてる円卓と腰掛に、松本順造が休らっている。