Japanische Klassiker mit Furigana
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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
Lesen Sie 自由人 (じゆうじん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.030 Zeichen · 139 Bildschirme
それでも俺は、天元社への先生の推薦文を有難く頂いた。
思い出の調子が皮肉になるのは、浅薄な孤独者の通弊だ。俺は今このような皮肉を憎む。
高千穂では、俺はつつましい孤独者だった。一人で登った。幽邃な天然林のなか、ささやかな溪流に沿わず離れず、ただひそひそと坂道を登った。それから高燥な屋根の小松林の中を、ひたひたと急いだ。最後には、代赭色の火山礫に蔽われた急斜面を、足場を求めながら攀じ登った。旧火口の縁をまわり、馬の背越を過ぎると、急峻な斜面の上方に、高千穂の頂が頭を出す。その頂上附近に数人の人影が見えるのだ。麓からそれまで、約七キロほどの間、俺は一人の人間にも逢わず、姿をも見かけなかった。そして突然、頂上附近に数人を見出したのだ。ばかりでなく、馬の背越の彼方側には、一面に濃霧が渦巻いていて、その濃霧の底の遥か下方から、仏法僧の鳴き声が聞えてくる。二三ヶ所から、互に鳴き交しているのだ。つつましい孤独者だった俺は、眼がさめたような思いで佇み、頂上の人々を仰ぎ見、また霧の底の鳥の鳴き声に耳を傾けた。
意外な温い思いである。遠く人寰を離れて、千五百メートルの寂寥な高所での、その温い思いは、天の逆鉾に纏わる伝説などから得らるるものではなく、平凡な人の姿と鳥の鳴き声から得られるのだ。