Japanische Klassiker mit Furigana
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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
Lesen Sie 自由人 (じゆうじん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.030 Zeichen · 139 Bildschirme
恋愛は火山の如きものでありたい。轟々と地鳴りをさせ、熔岩をたぎり立たせ、噴煙を中天に立ち昇らせ、そして何物にも憚ることなく、何物からも邪魔されることなく、それ自体の存立を宣言しているのだ。これほど完全な自己表現はない。固よりこれは科学的に言うのではなく、主観的に主体的に言うのだ。而も火山はああいうことをして、いったい何になるのか。その自己表現が何の役に立つのか。何の役にも立ちはしない。斯く在るが故に斯く在るのだ。それ以外に意味はない。意味がないからこそ自由であり、意味がないからこそ美しい。
けれども、火山をじっと見ていると、はじめは、その豪壮の気に打たれ、その力に圧倒されるが、それも長くは続かない。なにかしら、胸のうちが、心の奥が、大きく抉り取られるようで、淋しく悲しくなるのだ。いったいこれはどうしたことであろうか。そしてその淋しさ悲しさのなかに、つまらないものが点景として残る。――浅間では、褐色の岩の上に、数羽の鳥が足で跳んでいた。高千穂では、旧火口の中を、燕が一羽矢のように横切った。浅間では、中腹のあたりに、二羽の鳶が静かに舞っていた。桜島にはいつも、鴎が前景に点綴されていた。