Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まいひめ

舞姫

森 鴎外

Lesen Sie 舞姫 (まいひめ) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.190 Zeichen · 33 Bildschirme

Aozora Bunko

身に合せて借りたる黒き礼服、新たに買い求めたるゴタ板の魯廷の貴族譜、二、三種の辞書などを、小「カバン」に入れたるのみ。さすがに心細きことのみ多きこのほどなれば、出で行く跡に残らんももの憂かるべく、また停車場にて涙こぼしなどしたらんにはうしろめたかるべければとて、翌朝早くエリスをば母につけて知る人がり出だしやりつ。余は旅装整えて戸を鎖し、鍵をば入口に住む靴屋の主人に預けて出でぬ。

魯国行につきては、何事をか叙すべき。わが舌人たる任務はたちまちに余を拉し去りて、青雲の上におとしたり。余が大臣の一行に随いて、ペエテルブルクに在りし間に余を囲繞せしは、巴里絶頂の驕奢を、氷雪のうちに移したる王城の粧飾、ことさらに黄蝋の燭を幾つともなく点したるに、幾星の勲章、幾枝の「エポレット」が映射する光、彫鏤の工みを尽したる「カミン」の火に寒さを忘れて使う宮女の扇のひらめきなどにて、この間仏蘭西語を最も円滑に使うものはわれなるがゆえに、賓主の間に周旋して事を弁ずるものもまた多くは余なりき。

この間余はエリスを忘れざりき、否、彼は日ごとに書を寄せしかばえ忘れざりき。余が立ちし日には、いつになく独りにて燈火に向かわんことの心憂さに、知る人のもとにて夜に入るまでもの語りし、疲るるを待ちて家に還り、直ちにいねつ。