Japanische Klassiker mit Furigana
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まいひめ
舞姫
Lesen Sie 舞姫 (まいひめ) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.190 Zeichen · 33 Bildschirme
かの人々の嘲るはさることなり。されど嫉むはおろかならずや。この弱くふびんなる心を。
赤く白く面を塗りて、赫然たる色の衣をまとい、珈琲店に坐して客をひく女を見ては、往きてこれに就かん勇気なく、高き帽を戴き、眼鏡に鼻を挟ませて、普魯西にては貴族めきたる鼻音にて物言う「レエベマン」を見ては、往きてこれと遊ばん勇気なし。これらの勇気なければ、かの活溌なる同郷の人々と交わらんようもなし。この交際の疎きがために、かの人々はただ余を嘲り、余を嫉むのみならで、また余を猜疑することとなりぬ。これぞ余が冤罪を身に負いて、暫時の間に無量の艱難を閲し尽くす媒なりける。
ある日の夕暮れなりしが、余は獣苑を漫歩して、ウンテル・デン・リンデンを過ぎ、わがモンビシュウ街の僑居に帰らんと、クロステル巷の古寺の前に来ぬ。余はかの燈火の海を渡り来て、この狭く薄暗き巷に入り、楼上の木欄に干したる敷布、襦袢などまだ取り入れぬ人家、頬髭長き猶太教徒の翁が戸前に佇みたる居酒屋、一つの梯はただちに楼に達し、他の梯は窖住まいの鍛冶が家に通じたる貸家などに向かいて、凹字の形に引っこみて立てられたる、この三百年前の遺跡を望むごとに、心の恍惚となりてしばし佇みしこと幾度なるを知らず。