Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
せんいのたちば
船医の立場
菊池 寛
Lesen Sie 船医の立場 (せんいのたちば) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.712 Zeichen · 22 Bildschirme
それは、夢にも忘れない黒船だった。今日は、その三重の帆を海鳥の翼のごとく広げ、しかもそれでも足りないで、両舷の火輪を回して、やや波立っている大洋を、巨鯨のごとく走っているのだった。
「見られい! あの勢いを」
寅二郎は敵愾の心も忘れて、嘆賞した。
「毛唐め! やりおる! やりおる! あのように皇国の海を人もなげに走りおる!」
慷慨家の金子は、翼なき身を口惜しむように、足摺りしながら叫んだ。
「なに、今にメリケンヘ渡ってあの術を奪ってやるのだ。夷人の利器によって夷人を追い払うのだ」
寅二郎は、熱海の湯の宿で作ってくれた大きい握り飯をほおばりながら叫んだ。
二
二人が、下田へ着いたのは、翌十八日の午後であった。昨日途中で見た二艘の火輪船は、港口近くに停泊していた。二人は宿を取ると、すぐ港を警衛している役人たちに会って、それとなく黒船の様子をきいてみた。
役人たちの話によると、この二艘は先発隊で、大将ペリーはまだ来ていない。その上、漢語ばかりでなく、オランダ語を話す通辞さえいないので、薪水積込みの応答にさえ困っているということであった。通辞がいないとすれば、潜かに乗り付けて、事情を陳べて、便乗することは、絶対に不可能である。