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Japanische Klassiker mit Furigana

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せんいのたちば

船医の立場

菊池 寛

Lesen Sie 船医の立場 (せんいのたちば) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.712 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

潮がふたたび満ちて来るのを待つよりほかはなかった。二人は、弁天堂の中へ入って寝てしまった。目がさめたのは八つを回った頃だろう。星明りのうちに潮が堂の真下まで満ちているのが分かった。

二人は欣び勇んで舟に乗った。が、櫂を取って、漕ぎ出そうとすると、肝心な櫓臍がないことが分かった。おどろいてもう一つの舟に乗り替えてみた。が、その舟も同じだった。あわてた。が、咄嗟な場合、二人は下帯を脱して、櫂を両方の舷へ縛り付けた。が、半町と漕がないうちに、弱い木綿は、櫂と舷との強い摩擦のために摩り切れてしまった。二人は小倉の帯を解いて、櫂を縛り直すほかはなかった。

漕ぎ出して見ると、岸に立って見たときとは違って波涛が荒かった。ともすれば、舟は波に煽られて顛覆りそうになった。その上、寅二郎は今まで舟を漕いだことがなく、ただ力委せに櫂を動かすのだから、二人の調子が合わず、いちばん間近のミシシッピー船へ向けた舳はくるくる回って、舳の前へ下田の村の灯火が現れたり、柿崎の浜の森が現れたりした。舟は前へは進まないで同じ所を回った。

二人の腕が脱けるようになったとき、やっとミシシッピー船の舷側へ着いた。