Japanische Klassiker mit Furigana
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えんしょ
艶書
山本 周五郎
Lesen Sie 艶書 (えんしょ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.027 Zeichen · 50 Bildschirme
六
「小父さんお上手ね」と女の子はびっくりしたような眼でこちらを見あげた、「それなんのまねなの、梟だわね」
「ああ――」彼はうなずいた、「あなたは誰、新村さんのお嬢さんですか」
「ええ、あたくしたあちゃんよ」
そして眼を細めてにこっと笑った。
六
この子の声を聞き違えたんだな、と出三郎は思った。新村では長男の立之助に二人子供があった。上の男の子は知っていたが、これは二番めの子なのであろう。七重とは血が近いし、それに女の子だから、声が似ていてもふしぎではなかった。
「たあちゃんは七重叔母さん知ってるでしょう」と彼はきいた、「このごろ叔母さんはいらっしゃいますか」
「いいえ、叔母たまはいらっしゃらないわ」
「たあちゃんは叔母さまの家へゆかないの」
「いちどだけ」とたあちゃんは云った、「笠井たまのおばあたまこわいのよ、たあちゃんのことにらむの、だからたあちゃんいかないのよ」
出三郎は暗い気持になった。
幼い子供は敏感に人をみる。出三郎は笠井の人たちを知らないが、そのときの「にらむからこわい」という表現は、笠井の老夫人を活写しているように思え、七重がいつもそういうふうににらまれているのが見えるようであった。