Japanische Klassiker mit Furigana
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しばいきょうぼうけん
芝居狂冒険
夢野 久作
Lesen Sie 芝居狂冒険 (しばいきょうぼうけん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.334 Zeichen · 21 Bildschirme
やはり穴の開く程、相手の顔を見返していたが、突然、その顔を近付けると、眼を丸くして声を落した。
「……タ……大将……大変ですぜ。お嬢さんはね。どっかの色男と……今夜、駈落(かけおち)の相談を……」
万平の眼から火花が飛んだ。頭がクラクラとなった。頬を打たれて突飛ばされたのだ。万平は泥濘(ぬかるみ)の中に尻餅(しりもち)を突いたまま、相手の顔を茫然と見上げていた。
禿頭(はげあたま)は草箒を構えて睨み付けた。
「……馬鹿野郎……あっちへ行け……」
万平は禿頭(はげあたま)の見幕に震え上った。起上りながら後退(あとじさ)りをした。その時に最前の娘が、暗い小格子からチラリと顔を出した。
万平は横ッ飛に逃出した。
万平はお尻を泥ダラケにしたまま、腕を組んで考え考え歩いた。
頭の中が心配で一パイになって、どこをどうあるいたのかわからなかったが、背後(うしろ)から人が笑うような声がしたので、フト頭を上げてみると俎橋の警察の前に来ている事に気が付いた。万平はそこで又、暫く考えていたが、思い切って、警察の前の石段を上って行った。
警察の中では巡査が三人、机越しに向い合って欠伸(あくび)をしていた。