Japanische Klassiker mit Furigana
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あくたがわのことども
芥川の事ども
菊池 寛
Lesen Sie 芥川の事ども (あくたがわのことども) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.580 Zeichen · 11 Bildschirme
芥川としては、何人にも敬意を失せざらんとする彼の配慮であったのだ。そのため、収録された作者数は、百二、三十人にも上った。しかし、あまりに凝り過ぎ、あまりに文芸的であったため、たくさん売れなかった。そして、その印税も編集を手伝った二、三子に分たれたので、芥川としてはその労の十分の一の報酬も得られなかったくらいである。
しかるに、何ぞや「芥川は、あの読本で儲けて書斎を建てた」という妄説が生じた。中には、「我々貧乏な作家の作品を集めて、一人で儲けるとはけしからん。」と、不平をこぼす作家まで生じた。こうした妄説を芥川が、いかに気にしたか。芥川としては、やり切れない噂に違いなかった。芥川は、堪らなかったと見え、「今後あの本の印税は全部文芸家協会に寄付するようにしたい」と、私に言った。私は、そんなことを気にすることはない。文芸家協会に寄付などすればかえって、問題を大きくするようなものだ。そんなことは、全然無視するがいい。本は売れていないのだし、君としてあんな労力を払っているのだもの、グズグズ言う奴には言わして置けばいいと、私は口がすくなるほど、彼に言った。
彼が、多くの作家を入れたのは、各作家に対するコムプリメントであったのが、かえってそんな不平を呼び起す種となり、彼としては心外千万なことであったろう。