Japanische Klassiker mit Furigana
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はなふぶき
花ふぶき
豊島 与志雄
Lesen Sie 花ふぶき (はなふぶき) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.409 Zeichen · 20 Bildschirme
千代は少し白痴なのだ。高熱で病臥している折に、空襲で家を焼かれ、赤木の家に引き取られて、あぶなく脳膜炎になりかかった、そのためだと赤木は言うが、確かなことは分らない。口がゆがみ、眼尻がへんに下り、瞳が宙に据り、そして頬の肉にはしまりがなくて、今にもにやりと笑いそうだ。不自然なほど肌色が白い。外を出歩くのが好きで、そろりそろりと、重病人のように、或は足に故障でもあるかのように、ゆっくり歩いている。いつもすりへったぺしゃんこの下駄で、それも片方がよけいへってるちんばだ。銘仙の衣類にメリンスの帯と、みなりだけはまあ普通だが、帯のしめ方がぐずぐずで、襟元がはだけてるので、汚いぼろをまとってるのよりは却って、猥らないやらしさがある。
おれが復員してきて、赤木を頼ってやって来た時、彼女は、焦点のきまらないような眼を、おれの方にじっと向けた。視力のこもらぬその眼付と、頬から頸筋へかけた皮膚のだだ白さに、おれは、魚の肌にでも触れるような感じを受けた。赤木の妻の嘉代さんが、「仲本の新治さんじゃないか、挨拶をなさい、」と促すと、彼女はにやりと笑って、「こんちは、」