Japanische Klassiker mit Furigana
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
Lesen Sie 花も刀も (はなもかたなも) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.364 Zeichen · 178 Bildschirme
「知らない、聞いたけど覚えてないよ」
「病気というのは、嘘だろう」
「嘘なんかつかないよ、本当に病気なんだ、河内屋の旦那が湯治にゆけっていうんだけど、どうせ死ぬものなら江戸で死にたいって、医者もずいぶん云うんだけども、どうしてもきかないんだよ」
「寝たっきりなのか」
「寝てなければいけないのに、すぐ起きちゃうんだ、二度も血を吐いたんだよ」
深喜は、じっと幸助の顔をみつめた。
――嘘ではないらしいな。
二度も血を吐いた、というのがあまりに突然で思いがけなかったし、そこまで嘘を拵えるとも考えられなかった。
「いまどこにいるんだ」
「深川の佐賀町だよ」
「河内屋の旦那と云ったが、その人の世話になっているのか」
「うん、旦那はいい人だよ」
幸助は口早に説明した。
河内屋は、本所緑町に店のある質両替商の老舗で、富十郎という隠居が、道楽に一中節の稽古所を持っている。もちろん、ちゃんとした師匠が定った稽古日に来て教えるのだが、その他の日は隠居が教えている。お豊も本所にいたじぶん、気まぐれにしばらく稽古所へかよった。
お豊はほんの気まぐれだったが、隠居の富十郎はすっかり乗り気になった。