Japanische Klassiker mit Furigana
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
Lesen Sie 花も刀も (はなもかたなも) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.364 Zeichen · 178 Bildschirme
――声も、調子もいい。
女には珍しく、声も調子もこの浄瑠璃にまん向きだと、隠居はすっかり惚れこみ、本式に教えるから女師匠になれ、と云いだした。
お豊は信じなかった。
――うまくまるめて、あたしを妾にでもするつもりなのよ。
そう云って稽古所へもゆかなくなった。
「お豊さんのねえさんは、すっかりぐれちゃったからね」と、幸助はおとなびた口ぶりで云った、「女師匠だなんて、固っ苦しいことをするよりも、あんなふうに客を取って、みんなに奢ったり小遣いをやったりして、いばっているほうがよかったんだよ」
「みんなというのは、あの三平という男もか」
「本野さんていう、御家人くずれもいたし、てっぽう安っていう、いつか平手さんが亀戸でやっつけた、あにきとかさ」
深喜は「支度をしよう」と云って立ちあがった。
「来てくれるんだね、平手さん」
「幸坊の顔をつぶしては、悪かろう」と、深喜は云った。
外出の許しを得て、二人はまもなく道場を出た。晩秋の日は昏れるのが早く、街には、もう灯がつきはじめていた。駕籠でゆこうと思ったが、自分だけということにはいかないし、二梃雇うには銭が惜しかった。