Japanische Klassiker mit Furigana
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
Lesen Sie 花も刀も (はなもかたなも) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.364 Zeichen · 178 Bildschirme
三
「ほんとよ」と、お豊は云った、「あたしには、平手さんしかいやあしないの、そうでなくったって、誰があんなお爺さんの妾なんかになるもんですか」
「ずっと、世話になっていてもか」
「あの人の道楽なのよ」とお豊は、力なく笑って云った、「あたしが、あの人の稽古所へいったのは、からかい半分だったけれど、あの人は、あたしの声や三味線の手筋がいいって、それで身を立てるまで面倒をみよう、いやらしい気持はちっともないって、いまでも口癖のように云うのよ、――あたし、平手さんのほかには男なんて信用してやしないわ、だから河内屋の隠居だって同じことだと思ってたのよ」
それで、草津ゆきは拒みとおして来たのであるが、このごろになって、ふと気持が動き始めた。
――こっちが、しっかりしていればいい。
相手はとしよりだし、まさか手籠めにするようなこともないだろう。いっそ暫く閑静なところで養生してみようか。
――そうすれば、これまでのからだのよごれも浄められるかもしれない。
そう思うようになった。
「それでお別れに、平手さんに逢いたくなったの、あのときあんな義理の悪いことをしたから、怒って来ては下さらないかと思ったんだけれど……入口で声が聞えたとき、うれしくって、息が詰りそうだったわ」