Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなもかたなも

花も刀も

山本 周五郎

Lesen Sie 花も刀も (はなもかたなも) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.364 Zeichen · 178 Bildschirme

Aozora Bunko

そう云って平八はまもなく立ちあがった。

深喜は彼を見送らなかった。

――おれは、のけ者だ。

平八が去ったあと、深喜はそこへ坐ってながいこと、もの思いに耽った。

――千葉先生もそうだ。

みんなが、出稽古先を持っているのに、自分だけには与えてくれない。こんどの招待試合にも、順序からいえば自分を選んでくれるのが当然だ。それを(もうその必要もない)井上などに振当てている。実力ならおれのほうが上だということは、先生の眼には、わかっている筈なのに、と深喜は思った。

「――これはどういうわけだ」と、深喜は呟いた、「おれのどこが悪いんだ。どうして、おれだけが、のけ者にされるんだ、どうしてだ」

彼は小机に肱をつき、両手で頭を抱えた。

――故郷も無くなった。

彼がそこで生れ、そこで育った故郷には、もう家もなく、土地もない。それらは家長である筈の彼に無断で他人の手に渡され、妹たちや、母までが、江戸へ出て来てしまう。

「なぜ、ひとこと話してくれなかったのだ、秋田は事情があったと云っている、秋田には相談したのだろう、他人には相談をしたのに、どうしておれには黙っていたんだ」

頭を抱えたまま、彼はそこに妹たちでもいるかのように問いかけた。