Japanische Klassiker mit Furigana
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はなよい
花宵
山本 周五郎
Lesen Sie 花宵 (はなよい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.938 Zeichen · 18 Bildschirme
一
一
清之助のきよがき(お清書)をつくづくと見ていた母親のいねは、しずかに押し戻してやりながら、
「よくおできでした」
とやさしく云った。
「あなたの字はのびのびとしていて、見ていると心がすがすがしくなります。けれど、もう少し丁寧にお書きなさるともっとみごとになると思います。……このつぎは是よりお上手なのを見せて戴きましょうね」
「はい」
清之助はあっさりとおじぎをした。弟の英三郎はそれを待ち兼ねたように、自分のきよがきを母のほうへさしだした。
――今日こそ褒めて戴けるぞ。
お師匠さまのところから帰る道みちそう思いつづけて来たのであった。なぜなら、兄のものには点がないけれども、かれのものには点が二つついていたからである。そのお師匠さまが二つ点をつけるなどということはまったくめずらしいことであった。
――今日こそ兄上に勝てるんだ。
そう思いながら英三郎は自慢そうにちらちらと兄のほうを眼の隅で見た。清之助は知らぬ顔で庭を見ていた。
「よいお点を戴いておいででした」
いねはよくよく文字を見てから云った。
「お点はよいと思いますけれど、母にはおまえの字はよいとは思えません。