Japanische Klassiker mit Furigana
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はなよい
花宵
山本 周五郎
Lesen Sie 花宵 (はなよい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.938 Zeichen · 18 Bildschirme
おまえはもう十一歳です。『自分ばかり叱られる』とか『継の子ではないか』などというめめしいことを考えるのはおやめなさい、母はこれからも叱ります、けれどそれは、おまえがいつか森脇の家を去って、波風のあらい世間でひとりだちになるときのためです、そのとき世間から未熟者と笑わせたくないから叱ります、おまえの本当の母だから叱るのです」
「ごめんください、おゆるしください母上」
英三郎は拳で眼を押しぬぐいながら、さっきとはまるでちがう嬉しさの溢れる声で云った。
「よくわかりました、わたしが悪うございました。おゆるしください」
「本当におわかりですか」
「はい、継の子だなんて云って申しわけがございません、ごめんください」彼は涙でぐしょぐしょに濡れた顔をあげ、泣き笑いをしながらじっと母をみつめた、
「でも母上、英三郎は安心しました。もう、……いくらお叱りをうけても大丈夫です」
「いやな英三郎ですね、叱られて大丈夫だということがありますか」母親はそう云いながら思わず笑いだした、けれど「本当の母だから叱る」というひと言がこんなにもわが子をよろこばせたかと思うと、笑いながら眼の裏がじっと熱くなるのを感じた。