Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はなび
花火
Lesen Sie 花火 (はなび) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.233 Zeichen · 29 Bildschirme
節子の箪笥に目ぼしい着物がなくなったと見るや、こんどは母のこまごました装身具を片端から売払った。父の印鑑を持ち出して、いつの間にやら家の電話を抵当にして金を借りていた。月末になると、近所の蕎麦屋、寿司屋、小料理屋などから、かなり高額の勘定書がとどけられた。一家の空気は険悪になるばかりであった。このままでこの家庭が、平静に帰するわけはなかった。何か事件が、起らざるを得なくなっていた。
真夏に、東京郊外の、井の頭公園で、それが起った。その日のことは、少しくわしく書きしるさなければならぬ。朝早く、節子に電話がかかって来た。節子は、ちらと不吉なものを感じた。
「節子さんでございますか。」女の声である。
「はい。」少し、ほっとした。
「ちょっとお待ち下さい。」
「はあ。」また、不安になった。
しばらくして、
「節子かい。」と男の太い声。
やっぱり勝治である。勝治は三日ほど前に家を出て、それっきりだったのである。
「兄さんが牢へはいってもいいかい?」突然そんな事を言った。「懲役五年だぜ。こんどは困ったよ。たのむ。二百円あれば、たすかるんだ。わけは後で話す。兄さんも、改心したんだ。