Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かしょく

花燭

太宰 治

Lesen Sie 花燭 (かしょく) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.501 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

それっきりである。帽子さえ無い。私は、そんな貧乏画家か、ペンキ屋みたいな恰好して、今夜も銀座でお茶を飲んだのであるが、もし、この服装のままで故郷へ現われるものなら、家の人たちは、恥かしさに身も世もあらぬ思いをするであろう。私は、服装に就いて困窮する。そうして奇妙な決心をする。借衣である。私は、並より少し背が低いほうなので、こういう場合でも、なにかと不便な思いをする。私と同じくらいの背丈の人間が、これはおかしな言いかたであるが日本にひとりしかいない。それは、私の訪問客ではなく、つねに私のふしだらの、真実の唯一の忠告者であるのだが、その親友は、また、私よりも、ずっとひどい貧乏で、洋服一着あるにはあるけれど、たいていかれの手許にはない。よそにあずけてあるのだ。私は三十円を持って、かの友人の許へ駈けつけ、簡単にわけを話し、十円でもって、そのあずけてあるところから取り戻し、それから、シャツ、ネクタイ、帽子、靴下のはてまで、その友人から借りて、そうして、どうやら服装が調うた。似合うも似合わぬもない、常識どおりの服装ができれば、感謝である。私の頭は大きいから、灰色のソフト帽は、ちょこんと頭に乗っかって悲惨である。