Japanische Klassiker mit Furigana
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めばえ
芽生
宮本 百合子
Lesen Sie 芽生 (めばえ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 40.924 Zeichen · 81 Bildschirme
あかるい町をすぎて、フイと暗い町すじに来た時、女はわけなく自分の傍を見た。そうして今ここに一人ぼっち歩いて居るのは、ほんとうの自分でない様に今までの事を自分でして来た事じゃない様に思った。
「妙なもんサ」
女の心はなげつけた様にこんな事をささやくと一緒に馬鹿にした様な涙がこぼれ出した。
自分達のして居る事の不平やら不安やらが頭の中におしよせて来た。眉をピリピリッとさせてうなる様に、
「どうせ……どうせ」
ときれぎれに云って立ちどまって深い息を吐いた。
「パンをかじりながらキッスをしなくっちゃあならない世の中なんさ」
女は暗の中にうごめいて居る見えない不安や不平にこう云いやって、手をおよぐ様にふっていきなりかけ出した。走りながら「どうせ……どうせ……」と女は思ってパッと見ひらいた目からとめどない涙をこぼした。
二階に居る時
ヘリのないぞんざいな畳には、首人形がいっぱいささって夢□の紙治、切られ与三、弁天小僧のあの細い線の中にふるいつきたい様ななつかしい気分をもって居る絵葉書は大切そうに並んで居る。京の舞子の紅の振、玉虫色の紅の思われる写真は白粉の香のただよいそうに一っぱいちらばって壁に豊まろの女、豊国の女房はそのなめらかな線を思いきりあらわしていっぱいはってある。