Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めばえ

芽生

宮本 百合子

Lesen Sie 芽生 (めばえ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 40.924 Zeichen · 81 Bildschirme

Aozora Bunko

「十八の時――十八の時」こうした言葉が悲しい調子を作って体中をとびまわって居る。ジイッと耳をかたむけると心臓の鼓動までそんな調子にうって居る様な気がしはじめる。

「何んだいくじなし、パンドールの壺にはまだ一つ幸にのこって居るものがあるじゃあないか」

斯う云うと自分で自分を馬鹿にしたような高笑をした。そうしてその笑い声がパッと消えてしまうと前にもました淋しさがまわりからヒシヒシとまるで潮のよせる様によせて来て自分のこの小っぽけな体をひっさあらっていってしまいそうにする。「何んだい、何んだい」にがいかおをしながら机にしっかりよっかかった。けれどもともすればこの形のない力づよいものは、再びうき上られない深いところへ巻いてきそうにする。ジッとして居られない様になってこれまでに一番自分の気に入った絵の絹地の下にかばってもらう様に座った。はれやかな舞子の友禅の袂の下にはあんな力づよいものもよせて来られないと見えて気は段々かるく力が出て来た。哀れなみなし子がその救主を見上げる様なオロオロしたはずかしそうな目つきをして、若々しいまるい顔にこぼれる様なほほ笑みをうかべてウットリと見入って居る舞子の姿を見上げた。