Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

わかきひのせっつのかみ

若き日の摂津守

山本 周五郎

Lesen Sie 若き日の摂津守 (わかきひのせっつのかみ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.437 Zeichen · 47 Bildschirme

Aozora Bunko

「おれが領主なら」と光辰は吃りながら云った、「自分の領内を歩くのに、それでも危険なことがあるのだろうか」

重太夫はするどく咳をした。光辰は口をつぐみ、持っている懐紙をぼんやりと見て、なんのために懐紙など取り出したのかと、訝るように首をかしげた。

その夜半、――例のように読書を始めようとしたとき、光辰は無意識に鼻唄をうたった。伊部村のあの狂老人のうたった唄である。おたきは自分の褥の中で聞いていた。うたうといってもむろん囁き声だし、本人が意識していないのだから、殆んど文句は聞きとれない筈であるが、おたきはびっくりしたように、起きあがって光辰のほうへすり寄った。

「どうしてその唄を御存じなのですか」

光辰は振向いておたきを見た。

「七年待ったとて、といういまの唄です」とおたきが囁いた、「どうしてそれを御存じなのですか」

「おれがうたったか」

「まえから御存じなのですか」

「いや、今日聞いたのだ」と光辰は云った、「伊部村というところで、気の狂った老人がうたっているのを聞いて、節も文句も単純なので覚えてしまったらしい、おまえも知っているのか」

「はい」おたきは俯向きながら、口の中で云った、「その気の狂った年寄は、市兵衛と申しまして、わたくしの母方の祖父でございます」