Japanische Klassiker mit Furigana
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きのこのまいひめ
茸の舞姫
泉 鏡花
Lesen Sie 茸の舞姫 (きのこのまいひめ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.906 Zeichen · 24 Bildschirme
町中が、杢若をそこへ入れて、役に立つ立たないは話の外で、寄合持で、ざっと扶持をしておくのであった。
「杢さん、どこから仕入れて来たよ。」
「縁の下か、廂合かな。」
その蜘蛛の巣を見て、通掛りのものが、苦笑いしながら、声を懸けると、……
「違います。」
と鼻ぐるみ頭を掉って、
「さとからじゃ、ははん。」と、ぽんと鼻を鳴らすような咳払をする。此奴が取澄ましていかにも高慢で、且つ翁寂びる。争われぬのは、お祖父さんの御典医から、父典養に相伝して、脈を取って、ト小指を刎ねた時の容体と少しも変らぬ。
杢若が、さとと云うのは、山、村里のその里の意味でない。註をすれば里よりは山の義で、字に顕せば故郷になる……実家になる。
八九年前晩春の頃、同じこの境内で、小児が集って凧を揚げて遊んでいた――杢若は顱の大きい坊主頭で、誰よりも群を抜いて、のほんと脊が高いのに、その揚げる凧は糸を惜んで、一番低く、山の上、松の空、桐の梢とある中に、わずかに百日紅の枝とすれすれな所を舞った。
大風来い、大風来い。
小風は、可厭、可厭……
幼い同士が威勢よく唄う中に、杢若はただ一人、寒そうな懐手、糸巻を懐中に差込んだまま、この唄にはむずむずと襟を摺って、頭を掉って、そして面打って舞う己が凧に、合点合点をして見せていた。