Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くさまくら

草枕

夏目 漱石

Lesen Sie 草枕 (くさまくら) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.485 Zeichen · 170 Bildschirme

Aozora Bunko

「屁くらいで、どうかされちゃたまりません」

「わしが小坊主のとき、先代がよう云われた。人間は日本橋の真中に臓腑をさらけ出して、恥ずかしくないようにしなければ修業を積んだとは云われんてな。あなたもそれまで修業をしたらよかろ。旅などはせんでも済むようになる」

「画工になり澄ませば、いつでもそうなれます」

「それじゃ画工になり澄したらよかろ」

「屁の勘定をされちゃ、なり切れませんよ」

「ハハハハ。それ御覧。あの、あなたの泊っている、志保田の御那美さんも、嫁に入って帰ってきてから、どうもいろいろな事が気になってならん、ならんと云うてしまいにとうとう、わしの所へ法を問いに来たじゃて。ところが近頃はだいぶ出来てきて、そら、御覧。あのような訳のわかった女になったじゃて」

「へええ、どうもただの女じゃないと思いました」

「いやなかなか機鋒の鋭どい女で――わしの所へ修業に来ていた泰安と云う若僧も、あの女のために、ふとした事から大事を窮明せんならん因縁に逢着して――今によい智識になるようじゃ」

静かな庭に、松の影が落ちる、遠くの海は、空の光りに応うるがごとく、応えざるがごとく、有耶無耶のうちに微かなる、耀きを放つ。