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Japanische Klassiker mit Furigana

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くさまくら

草枕

夏目 漱石

Lesen Sie 草枕 (くさまくら) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.485 Zeichen · 170 Bildschirme

Aozora Bunko

因果の尽くるとき、彼と吾らの間にふっと音がして、彼一人は否応なしに運命の手元まで手繰り寄せらるる。残る吾らも否応なしに残らねばならぬ。頼んでも、もがいても、引いていて貰う訳には行かぬ。

舟は面白いほどやすらかに流れる。左右の岸には土筆でも生えておりそうな。土堤の上には柳が多く見える。まばらに、低い家がその間から藁屋根を出し。煤けた窓を出し。時によると白い家鴨を出す。家鴨はがあがあと鳴いて川の中まで出て来る。

柳と柳の間に的と光るのは白桃らしい。とんかたんと機を織る音が聞える。とんかたんの絶間から女の唄が、はああい、いようう――と水の上まで響く。何を唄うのやらいっこう分らぬ。

「先生、わたくしの画をかいて下さいな」と那美さんが注文する。久一さんは兄さんと、しきりに軍隊の話をしている。老人はいつか居眠りをはじめた。

「書いてあげましょう」と写生帖を取り出して、

春風にそら解け繻子の銘は何

と書いて見せる。女は笑いながら、

「こんな一筆がきでは、いけません。もっと私の気象の出るように、丁寧にかいて下さい」

「わたしもかきたいのだが。どうも、あなたの顔はそれだけじゃ画にならない」