Japanische Klassiker mit Furigana
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くさまくら
草枕
Lesen Sie 草枕 (くさまくら) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.485 Zeichen · 170 Bildschirme
わが住む部屋も、欄干に倚ればやはり同じ高さの二階なのには興が催おされる。湯壺は地の下にあるのだから、入湯と云う点から云えば、余は三層楼上に起臥する訳になる。
家は随分広いが、向う二階の一間と、余が欄干に添うて、右へ折れた一間のほかは、居室台所は知らず、客間と名がつきそうなのは大抵立て切ってある。客は、余をのぞくのほかほとんど皆無なのだろう。〆た部屋は昼も雨戸をあけず、あけた以上は夜も閉てぬらしい。これでは表の戸締りさえ、するかしないか解らん。非人情の旅にはもって来いと云う屈強な場所だ。
時計は十二時近くなったが飯を食わせる景色はさらにない。ようやく空腹を覚えて来たが、空山不見人と云う詩中にあると思うと、一とかたげぐらい倹約しても遺憾はない。画をかくのも面倒だ、俳句は作らんでもすでに俳三昧に入っているから、作るだけ野暮だ。読もうと思って三脚几に括りつけて来た二三冊の書籍もほどく気にならん。こうやって、煦々たる春日に背中をあぶって、椽側に花の影と共に寝ころんでいるのが、天下の至楽である。考えれば外道に堕ちる。動くと危ない。出来るならば鼻から呼吸もしたくない。