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Japanische Klassiker mit Furigana

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きくづきよ

菊月夜

山本 周五郎

Lesen Sie 菊月夜 (きくづきよ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.129 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

二

……兵庫助は病弱らしい痩身で、まだそれほどの年齢でもないのに、鬢のあたりは白いものを交えていた。

「これが信三郎と申す、二男でございます……」藤左衛門がそういって紹介すると、兵庫助はしけじけとこちらを見て微笑した。江戸の話を所望されたが、四年のあいだ御城と屋敷とを往復したばかりでまったく見物あるきなどをしていないため、これという話題もなく話は一向にはずまなかった。そのあいだにひとりの美しく着飾った娘が、しずかに茶菓の接待をした。母親にでも似たのであろうか、まる顔の血色のいい頬につつましく笑窪が浮いて、俯眼にしたながい睫毛の下から眩しそうな、いかにも羞らいを含んだ眸子が覗いていた、――これが絢子というむすめだな、信三郎はすぐにそう気づいた。そして贈られた菓子と、今日の訪問とのあいだに、彼には内密でひとすじの糸が繋がれているということを、そのときはじめておぼろげに察したのであった。

二

疋田家の婿にというはなしが出たのは、それから五日めのことだった。きりだしたのは母親である。信三郎はむしろ微笑しながら母の眼を見まもった。

「……けれど松谷のほうはどうなるのですか、松谷とまえに約束があると覚えていますが」