Japanische Klassiker mit Furigana
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はなばなしきしゅんかん
華々しき瞬間
久坂 葉子
Lesen Sie 華々しき瞬間 (はなばなしきしゅんかん) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.114 Zeichen · 92 Bildschirme
蓬莱和子とのことは唯一度ふれたにすぎない。阿難には嫉妬心がないのか。それとも、単に刹那の快楽の対象としての僕なのか。いやちがう。そんな風にはどうしても感じられない。それに、彼女に男が居ないことも確かだ。彼女は新鮮。常に新鮮だから。だが不思議な関係だ。沈黙のうちに成立した恋人同志。愛してます、とさえお互に云い合ったことがない。沈黙のうちに信頼し諒解してしまっている。不思議だ。然しこれでいいのだ。まったく自由であり、かえって永続する愛だ。いや、まて、自由ではない。僕は妻の体を抱く時にふと阿難を思い浮べてしまう。それは無形の束縛で苦痛なのだ。阿難と僕。僕達は未来のことをさえ語らない。破局、そんなことは考えられもしないのだ――
「六ちゃん。ねえ嫌よ。この頃、いつもむっつりしているじゃあないの。あなた本当にお杉に惚れてしまったのね。私はもうあなたの路傍の石になってしまったのね。私、何もあなたと十年前に戻ろうと云ってやしないわ。でも私には何でも打ち明けてくれる筈でしょう。ああ、いやききたくないわ。わかってます。わかってるのよ」
蓬莱和子は思いきり強く仁科六郎の頬を打った。