Japanische Klassiker mit Furigana
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おちてゆくせかい
落ちてゆく世界
久坂 葉子
Lesen Sie 落ちてゆく世界 (おちてゆくせかい) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.725 Zeichen · 40 Bildschirme
矛盾しているようで結局、何が何やらわかりません。急におかしさがこみ上げて来ます。銅像といえば、私の祖先も曽祖父も銅像がたてられました。けれども赤襷をかけて戦争中出征致しました。御影石の台だけが、お寺のある山にのこっております。雨のふる中を誦経しながら銅像をひきおろしたことを思い出しておかしくなったのです。
家へ戻って食事をしていると東さんがやって来ました。店に坐っている時は着流しで、真綿のちゃんちゃんこをきていましたが、玄関でみた彼は、うすっぺらの背広をきていてネクタイがゆがんでおります。おしゃれをして来たのかもしれませんが、東さんは断然、あの着流しがいいのに。
「どうぞ、父もお会いするでしょうから」
私は父の部屋に東さんを招じ入れ、いそいで食事を済ませると、お茶を持ってふたたび彼等のところへ行きました。品物をならべます。父と東さんはそれ等をみております。父は心細そうで、
「惜しいな」
と時々申します。東さんは、一つ一つをゆっくり観察しました。
「全部で二万三千円」
東さんはそう云いました。私も父も少なくとも三万円にはなると思っていたのです。私は、病のため剃ることも出来ないで白くのびた父のひげのあたりをみておりました。