Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちばいき

落ち梅記

山本 周五郎

Lesen Sie 落ち梅記 (おちばいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.748 Zeichen · 61 Bildschirme

Aozora Bunko

三

くすんだ紫色に細かく花をちらした着物と、色の白いふっくりした顔とが冴えた対照をなして、しんと暗い建物を背景に、それはあざやかなほど際立って美しくみえた。

「どうぞ此処からお上りあそばして」

「――構わないんですか」

「ええ、それで此処でお待ちしておりましたの」

由利江はこういうと、伏目の姿勢になって廊下を奥へと先に立った。

三

本堂に付属して持仏の間というのがある。大きい檀家の私用で、本尊を納めた仏壇と、その家代々の位牌が安置してあり、年忌法会などはそこでするし、ときに親族の集まりなどにも使う。法顕寺には藩の老臣五家がひと間ずつ持っていたが、由利江が案内したのは自分の家の持仏の間であった。

「一昨日はいろいろおねだりして申しわけございませんでした、今日はまたこんなところへおはこびを願いまして――」

そんなふうに挨拶していると、老女が茶菓を持って来た、由利江の乳母である。それが去ると由利江はふと膝を固くした。そしていっとき息をひそめるようにして、まったく予想外のことを云いだした。――それは公郷半三郎へ嫁にゆくということ、そのことについて意見を聞き、また頼みがあるというのであった。